孤独のレシピ

美味しい料理とお菓子と漫画

善悪と命の天秤の話

特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/pdmagazine

羅生門

自分はあまり活字の本が得意ではなく、読んでも短編集やショートショートぐらいなのですが、その中でも特に印象が強く残っているものがコレ、羅生門ですね

 

芥川龍之介との出会いは、確か小学校の教科書で

「蜘蛛の糸」を読んだのが最初でしょうか

始めに読んだ時から何とも言えないモヤモヤを感じたのをよく覚えています。

 

それから中学の読書感想文で、長い本を読むのが面倒で蜘蛛の糸が短い話だったからという理由で芥川龍之介の短編集を読んだ時、その中の一つである羅生門に出会いました。

 

最初に読んだ時は、立場の弱い老婆を蹴り倒し、悪の道に走る下人を激しく非難したい気持ちにもなりましたが、感想文を書くために何度か読み返す内に、下人を責める気持ちは失せ、自分だったらどうするか、ということばかり考えていました。

 

この話はいわゆる正解がない、読者に問いかける話だと思うのですが、自分は見事その術中にはまり、気付いたらこの善悪の問いかけが頭の中をぐるぐると回っていたというわけです。

 

この羅生門の話を書いていて、ふと、東日本大震災で母親を置いて逃げた女の子の話を思い出しました。瓦礫の下敷きになり、余震が続き更に倒壊する危険がある中、助けを求める母を置いて行くしか無かった女の子を一体誰が責められるというのでしょうか?

 

結局、大人になった今も、もしあの状況だったとして、それでも下人は裁かれるべきかそうでないか、自分の命を前にして、本音でいるべきかそうでないか、何とも言えないまま自分の頭の中をぐるぐると回り続けています。

 

皆さんはどうでしょうか?

下人は、やはり裁かれるべきなのでしょうか?